トップページ > 東京茶道会茶会(十一月)

東京茶道会茶会(十一月)

2016年01月22日(金)

東京茶道会茶会(十一月)
十一月八日(日)護国寺
日付が前後いたしますが、十一月の「東京茶道会茶会」は、立冬にあたる八日(日)に開かれ、江戸千家からは佐藤宗閑様が〈不昧軒〉にてお席主を務められました。
終日時雨の一日で、本来なら生憎のお天気と言うべきところですが、この日ばかりはこの雨の御蔭でより一層秋のお茶席の雰囲気を色濃く味わうことができました。
また、いつものことながら佐藤様のお席ではいろいろな知識を得られるのが有難く、この日も例えば住山陽甫についてや、守屋松亭門下の豊平翠仙のこと、あるいは蒔絵の技法についてなど様々な事柄をわかりやすくお教えいただきました。
取り合わせの妙が楽しめた見事なお道具組については、以下に掲載のお会記を御覧いただくとして、ここでは特に印象に残ったいくつかにについてご紹介いたします。
床の御軸はご流祖の画讃。お会記の語句を現代風に書き改めますと「良い程の湿り加減や初時雨」となり、まさにこの日の気候や気分にピタリとくるもの。また「右如心」と記されていることから、元は如心斎宗匠の書かれたものの写しではないかともお話し下さいました。
お釜は浄久作、無地で肩丸型の平釜。炉にいっぱいの大きな釜で貝の鐶付というのも珍しくじっくりと拝見。また釜が無地なので炉縁には華やかな雪輪蒔絵を使われたとも。華やかといえば仁清写の鳳凰紋の水指もそうで八田円斎作。戸越の窯で焼かれたものだそうです。
主茶碗はご流祖箱の金海。銘は「芙蓉」。使ってゆくうちに色が白からサーモン色に変化してゆき、冬のお茶席に合うお茶碗とのこと。また御銘の「芙蓉」とは酔芙蓉のことではないかとも。酔芙蓉も朝方は白っぽい花が夕刻にはピンク色を帯びてくるのだと。貫入にも特徴のある実に見所の多いお茶碗でありました。

 〈会記〉
東京茶道会茶会
於 音羽護国寺 不昧軒
主 佐藤宗閑
床 流祖不白 画讃
  よ以本との 志めり
  かげんや 初しぐれ
花  白玉椿照葉 金糸梅 
花入 竹 置筒 住山陽甫作
   銘 田子の浦
香合 古染付 大海老 明時代
釜  肩丸無地 平釜 浄久造
浄長極
 炉縁 雪輪蒔絵
 先  四つ折
棚  高麗卓
水指 鳳凰紋 八田円斎造
棗  平棗 紅葉 豊年翠仙造
茶碗 金海 流祖不白箱
 替 高取 沓形 十文字高台
茶杓 家元作 銘 錦
 建水 毛織 時代
 蓋置 赤 輪 宗入造
御茶 寿泉の白 ほ里つ詰
菓子 水の面 一真庵製
 器  銘々 朱山挽 喜哉造
以上


  |  

▲このページのトップへ戻る