不白会東京支部
特別会員研究会
七月十七日(日)
本年も「不白会東京支部特別会員研究会」が七月十七日の日曜日に江戸千家会館において開かれ、大勢様がご参加になりました。
いまだ梅雨が明けぬ東京はこの日も雨こそ降らねどじっとりとした曇り空。とても蒸し暑かったため開会までの間、扇子で涼をとられる方も多くお見えでした。
研究会はいつものように午前十一時より三階大広間にて。まずは東京支部長・翠鶴先生より開会の御挨拶があり、日頃の諸行事へのお力添えに対し謝意を述べられたうえで、この研究会に「あれをやりたい」「これを取り上げてほしい」といった声をもっと寄せていただきたいと要望されて、「本日はとても盛り沢山ですが、皆さんと一緒に勉強してゆきたいと存じます」と仰せられて御挨拶を結ばれました。続いてお家元、そして若宗匠よりも御言葉をいただき講習の開始となります。
今回の講習内容は次の通り。
午前の部「供茶」「炭付花月」
午後の部
「風炉流し点」「三方飾り」
「四畳半花月」
最初はちょうど「盂蘭盆会」の直後ということもあり、お家元より〝ご参考までに〟とのことで「供茶」の講習から。ちなみに御宗家では十三日に迎え火、十五日に送り火を焚かれることになっているそうで、これはかつて十六日が御稽古日になっていたためではないかとのお話でありました。
続いて「炭付花月」。今回もその場で五名様が指名され、早速に折据より札を引き、「花」の方が東、「月」の方が正客となって席入りから炭点前へ。さらに折据が回されて薄茶のお点前が三度。お家元はいつもの研究会のように間近から御覧になり適宜御指導に。そうこには当然緊張感も漂いますが、実にスムーズにお点前は進んでゆき午前の部は終了。
お昼の休憩中に席が改められ、午後の部は四畳半での「風炉流し点」を。亭主にお客様二人でのお点前は次頁掲載写真のとおり水指を置く場所が独特。これに関連して講習後にはお家元より風炉釜や茶筅の位置についても細かな御指導がありました。
午後の部の二番目は「三方飾り」。東に正客、次客、お詰の計四名様による講習となりましたが、「三方飾り」とは拝領名物でのお点前が本来とのこと。八畳のお席に改まり、床には一元斎筆「青山緑水」。この時季に合った清々しい御軸でありました。
最後の講習は五名様による「四畳半花月」。お家元が考案され、先年初めて御披露目されてから何度目かの拝見となりますが、狭い空間を効果的に活用した「花月」は実に巧みに構成されております。しかしそれも互いの息の合わせ方が重要であるのは毎回感じられるところ。今回も何度かお家元より「そこは御一緒に立って下さい」など微妙なタイミングと動きに関する御指導が入りましたが、そうした細部を練り上げてゆくことでより充実した御稽古になるのだと実感した次第です。
なお、「三方飾り」からは桐木地の糸巻棚に唐草紋も鮮やかな染付の水指が置かれましたが、涼しげな組み合わせでありました。蛇足ながら糸巻棚とは二重棚の中棚の各辺が窪んでいて、これがお正月の凧揚げの糸巻きに似ていることからこの名前になったそうで、青漆爪紅がよく見受けられますがそちらは一月、二月頃の寒い時期に適しており、一方暑い季節にはこの桐木地の棚が誠にさっぱりと爽やかで気持ち良く感じられます。また「四畳半花月」ではあえて平茶碗を使われましたが、これも暑中ならではのこと。こうしたお道具の選び方についても講習終了後にお家元から丁寧にご解説いただきました。
最後にお家元、翠鶴先生に御礼の御挨拶を申し上げ、御茶と御菓子を頂きほっと一息。今回の御菓子は半田松華堂製「あがり羊羹」。
文字通り〝盛り沢山〟で中身の濃い特別会員研究会でありました。