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茶筅供養と東京茶道会茶会(十二月)

2018年01月4日(木)

茶筅供養と東京茶道会茶会(十二月)
十二月四日(日)護国寺
年末の恒例行事、東京茶道会「茶筅供養」が12月4日、東京音羽・護国寺様にて開かれました。また例年のとおり当日は12月の「東京茶道会茶会」も開かれ、江戸千家からは〈宗澄庵〉にて今野宗博様がお席主を務められました。

「茶筅供養」の御法要は昨年と同じく月光殿〈茶筅塚〉前にて執り行われ、お家元はじめ東京茶道会の各御流儀の宗匠方および門人の方々が大勢様ご参列になりました。
午前9時30分、護国寺の僧侶方がお出ましになり、読経が始まります。快晴の空の下、読経の声が流れるなか、お家元が最初に〈茶筅塚〉へ進み出られ茶筅を供え丁寧に合掌されます。続いて役員をお務めの宗匠方、そして各御流儀の関係者の方々が次々と茶筅を供え塚に手を合わされまして、本年も「茶筅供養」が滞りなく終了いたしました。

この日は快晴で師走の初めとは思えぬ暖かさがあり、盛りを過ぎた境内の紅葉もまだまだ見応えがある誠に気持ちの良い一日でしたから、各席とも大変多くのお客様がお見えになり、今野宗博様が席主を務められた〈宗澄庵〉にも長い列ができておりました。
小間の〈宗澄庵〉の床には無学和尚筆の御軸。まず大きく「鉄壁ゝゝ」、その下に小さく「透過昭可能得」とあります。ここでの「鉄壁」とは聳り立つ山の意。小書まで含めると、嶮しい山を登りきることではじめて悟りは開けるという意味になるとのことで、そこに毎日一歩ずつ御茶に精進し続けることが大切であるとのお席主の想いを込められたと承りました。ここからお道具組は御菓子の銘「峰の雪」に至るまで山のイメージで通されておりました。
花入は初代村瀬治兵衛による黒楽の珍しい作。鉈目が大きく残っている沢栗の炉縁にもどこか御軸に通じた感覚があり、これに百代屋釜は初代藤兵衛作。またお会記に南宋寺在判とある黒柿の茶器には大徳寺五二六世・田島碩應老師の花押が記されておりました。
主茶碗盌は宗鶴師手造の赤楽で銘「待乳山」。言うまでもなく浅草(本龍院)待乳山昇天様のことを指しておりますが、お客様から「毎年初詣に伺っております」という声が多く寄せられますと、実に師走の、東京茶道会の、そして江戸千家のお席らしさが強く感じられてまいります。
その他のお道具組の詳細については下記の〈当日の会記〉を御覧いただきたいと存じますが、「山」の話題から、ご流祖の号「孤峰不白」が意味するところを他の御流儀のお客様方にも分かりやすくお話になるなど、お席主のご配慮が隅々まで行き届いていたこの日の〈宗澄庵〉でありました。

〈当日の会記〉
平成二十八年十二月四日
東京茶道会茶会
於 音羽護国寺 宗澄庵
     主 今野宗博
床 無学筆  鉄壁ゝゝ
透過昭可能得
花  蝋梅 加茂本阿弥
花入 黒楽掛けて   治兵衛造
香合 呉須 丸
釜  百代屋     藤兵衛造
炉縁 沢栗
水指 志土呂
茶器 黒柿   南宗寺在判共箱
茶碗 宗鶴手造 赤
銘 待乳山    家元箱
替 御本
茶杓 大亀作  銘 花の霜
建水 不昧好 生地 内黒
蓋置 竹    当代在判共箱
御茶 寿泉の白    ほ里つ詰
菓子 峰の雪   半田松華堂製
器 刷毛目銘々
以上








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