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平成二十八年十一月号 其の二

2016年11月25日(金)

川崎大師「御供茶式」神奈川支部「秋季茶会」
十月九日(日)
翌週の日曜日、こちらも秋の恒例行事であります川崎大師平間寺様での「御供茶式」が、十月九日に行われました。お家元による「仏門報謝」の御供茶勤仕も今年で二十九回目となりました。また当日は例年通り不白会神奈川支部様による「秋季茶会」も境内中書院を中心に開かれ、生憎の天気ではありましたが「御供茶式」とともに多くの方々がお出ましになりました。

この日は午前中がやや強めの降雨。本来なら大本坊から出発する境内のお練りがございますが、本年は中止に。信徒会館より渡り廊下を通り、御貫首藤田隆乗猊下をはじめ僧侶方、そしてお家元、翠鶴先生、若宗匠、峯雪先生、智大様、ご社中の皆様方が続いて大本堂にお入りになり着座。この時堂内は、すでに御流儀の皆さんや参詣の御信徒の方々で一杯になっておりました。
定刻の午前十時三十分、御案内があり、大導師猊下による有縁の参列者および茶道愛好者への厄除け祈願の特別大護摩法要が開始されました。堂内の参列者一同が合掌し御宝号「南無大師遍照金剛」を五たび唱え、続いて「祈願文」が読み上げられ、「家門繁栄」「所願成就」「茶道精進」などが祈願されました。やがて大太鼓が堂内に鳴り響き、大護摩の炎が大きくなり始めますと、お家元、若宗匠が一段高い点前座に上られ、御供茶点前に入られました。お家元が丁寧に点てられた御茶は、若宗匠の手から僧侶方にわたり御本尊様の御宝前に供えられます。
その間にも大護摩の炎はより高く立ちのぼり、僧侶方の読経の声も大きくなってゆきますと堂内はいよいよ厳粛な雰囲気に。最後に今年は御本尊間近にてお参りすることが出来ましたので、お家元から始まって皆さん順序よく御宝前にて手を合わせ御祈願をされ、大本堂を退出されました。

神奈川支部の皆様による今年の「秋季茶会」は、次の三席。
〈第一席〉中書院「光聚庵」(濃茶)
小山宗樹
〈第二席〉中書院「広間」
後藤幸雪
〈第三席〉客殿前総受付前(立礼)
伊藤由雪
今年は「光聚庵」が〈第一席〉の濃茶席に。先述のように午前中は雨でしたが、午後からは天気も回復、「光聚庵」らしく明るいお席となりました。
床の御軸は大徳寺第一八一世江月和尚筆「是法平等無有高下」(是の法は平等にして高下有ること無し)。金剛般若経の一節とのことで、その示すところは平等とは互いの違いを認め合うことにあるという意。今こそ肝に銘じておきたい語句であります。古銅の花入は霊芝の耳付という珍しいもの。真塗矢筈の長板には松の地紋の朝鮮切合風炉釜と雲鶴染付手桶の水指。いずれも立派で濃茶席らしい存在感がありました。お茶?は赤楽、ノンコウ七種の内「鵺」の写しで樂家九代了入の作。こちらも迫力があるというか、ちょっと他所ではお目に掛かれないお茶?でした。
〈第二席〉は広間のお席。床には大徳寺第四一八世宙宝和尚筆「峯頂一輪秋」。筆勢が大きく力強い御軸が、唐人傘の花入や堆黒の香合ともども広間の大きな床に調和しておりました。またお道具組の中で特に目を惹いたのがご流祖好黒漆の茶器で、ご流祖が朱で「鴫立澤」と甲書されているもの。鴫立沢は神奈川県大磯町西部の渓流で古来より景勝地でしたが、何と云っても西行法師が「心なき 身にもあはれは しられけり 鴫立澤の 秋の夕暮」と詠んだことで有名に。これを記念して元禄の頃には鴫立庵が建てられ、俳諧道場として今日まで存続しています。ご流祖も江戸東下の折に立ち寄られた思い出の地ではないかとのこと。
〈第三席〉は客殿前総受付前に設けられた立礼の呈茶席。床の御軸は円覚寺別峰老師(朝比奈宗源師)筆の「心月輪」。宗源師の横物は珍しいそうでしみじみ拝見。また高円卓のお道具組は万事秋らしい趣き。その中で異彩を放っていたのが月雪釉流の朝日焼の替茶?。当代豊斎氏が十六代目を襲名されて最初に作られたお茶碗ではないかと。同様に驚かされたのが、朱傘の足許に山野草とともに立てられていた石板碑。「秋風にのって帰るや東人」と刻されておりましたが、この句は江戸へ向かわれるご流祖に如心斎宗匠が贈られた惜別の句。お席主の伊藤様が大変お好きな句なのでこれを誂えられたとのこと。
三席ともご流祖の江戸東下や旅のイメージが感じられたのがいかにも神奈川支部のお席らしいと思えた「秋季茶会」でした。
その他、各席の詳細につきましては次に掲載しますお会記をご参照下さい。
〈会記〉
江戸千家不白会神奈川支部秋季大会
平成二十八年十月九日
於 川崎大師平間寺
〈第一席〉
中書院 光聚庵(濃茶)
主 小山宗樹
床 江雪和尚筆 
是法平等無有高下
花  真弓 浜菊
花入 古銅 霊芝耳付
香合 唐物 堆黒
風炉釜 朝鮮切合
松地紋 真形釜 寒雉造
先 時代木地
棚  長板 真塗矢筈
水指 雲鶴染付手桶  新渡
茶入 瀬戸春慶肩衝
銘 不老 当代箱
茶碗 赤楽のんこう七種
「鵺」写し 了入造
茶杓 流祖作 銘 常盤 筒箱共
建水 当代好 砂張 淨益造
蓋置 乾山写 松葉 善五郎造
御茶 千代の昔 味岡松華園詰
菓子 野辺の秋 鶴屋八幡製
器 縁高 春斎作

〈第二席〉
中書院 広間
主 後藤幸雪
床 宙宝筆
峯頂一輪秋
花  秋明菊 釣舟草 アザミ
金水引など
花入 唐人傘 栗田元笠作
香合 鎌倉彫
風炉釜 不白好
菊桐地紋透木 当代箱
先  神代杉
棚  米棚
水指 朝鮮唐津
十三代太郎右衛門造
茶器 流祖 黒漆 鴫立澤
茶碗 三朝焼 銘 清風 当代箱
替 薩摩 菊
茶杓 一元斎好 雪輪蒔絵
当代箱
建水 砂張
蓋置 大樋 十代長左衛門造
御茶 松の齢 味岡松華園詰
菓子 山路 半田松華堂製
器 萩
十一代坂高麗左衛門造

〈第三席〉
客殿総受付前(立礼)
主 小山宗啓
床 円覚寺別峰老師筆
心月輪
花  薄 山牛蒡 秋海棠
高隈杜鵑 岩沙参 杜鵑
花入 四方籠
香合 根来宝珠 石斎作
釜  竹地紋 敬典造
棚  高円卓
水指 美濃灰釉 正比古造
茶器 秋草棗 表完作
茶碗 唐津 円相 太郎右衛門造
替 朝日焼 月白釉流
十六代豊斎造
茶杓 当代家元作
銘 武蔵野 筒箱
建水 萩菊彫 陶兵衛造
蓋置 三猿 全悦造
御茶 深雪の白 小山園詰
菓子 旧重陽 鶴屋吉信製
以上






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