トップページ > 平成二十八年十月号 其の一

平成二十八年十月号 其の一

2016年11月20日(日)

熊野那智大社「御献茶式」「記念茶会」
十月二日(日)
本年も十月第一週の日曜日である二日に、熊野那智大社様においてお家元が御献茶勤仕をなされました。少々蒸し暑い曇り空でしたが、昨年同様御瀧前で「御献茶式」が行われたことは何よりも有難いことと感じました。なお那智大社様におかれては、これまで毎回ご出座いただいておりました朝日芳英宮司様が勇退され、四月より新たに男成洋三様が宮司にご就任、当日は御献茶式はもちろん記念茶会にもお出まし下さいました。

御献茶式は別宮飛瀧神社、那智の御瀧の前にて。お家元の御献茶は今年で九回目となります。
午前十時、御瀧前に設えられた祭壇を挟んで右に宮司様はじめ神職の方々、左にお家元、翠鶴先生、若宗匠、智大様、そしてご社中の皆様方が着座され、薄く霧の流れる熊野の山々に大太鼓の音が響き渡って御献茶式が始まりました。
まず「修祓の儀」そして「祭主一拝」。御神餞が献じられ、ご祭主が御瀧に祝詞を奏上します。今年は雨が多く御瀧の水が豊富なためその瀑声は例年になく大きく、祝詞の声も時折かき消されがちに。やがて「献茶の儀お願いいたします」との御案内の声とともにお家元、若宗匠が立ち上がられて点前座へお進みになり、御献茶点前をなされました。お家元がお点てになった濃茶、薄茶の二碗は、若宗匠から神職の方に渡り御神前に献じられました。この後那智の瀧舞の御奉納があり、ご祭主が玉串を奉り拝礼、続いてお家元、若宗匠、そして表千家くまの清和会の柴崎様がそれぞれ御神前に玉串を奉呈。改めてご祭主が御神前で一拝され、参列者全員もこれにあわせて起立、拝礼。最後に男成洋三宮司様より御挨拶を賜りまして御式は滞りなく終了いたしました。

「記念茶会」は例年通り那智大社境内〈斎館〉にて二席。「拝服席」はお家元席、「副席」が表千家くまの清和会様のお席でございました。
「拝服席」は大広間でのお席。男成洋三宮司様をお正客にお迎えし、若宗匠がお点前をされ、智大様が半東を務められました。
お道具組は一週間前「白石城茶会」を踏襲しつつ一部アレンジを加えられた秋らしい風情に満ちたもの。
床の御軸はご流祖筆「稲鍬の画讃」。
秋に富 実入りを花の 田づらかな
耳付の唐物籠には翠鶴先生によって山芍薬の実を中心に河原撫子などがたっぷりと。香合は金地に細く叢雲が描かれている雲蒔絵。内側の秋草蒔絵共々美しい香合でした。真形の切合欄干風炉釜は高木治良兵衛作。風炉先はお家元在判の雪月花透。一元斎好、朱の雪輪棚には秋らしく乾山写の葡萄図水指。
主茶?は宗鶴師手造の赤楽で銘「八千代」。やや薄作りながら色合と形から大きく感じられるお茶?。替茶?は献上薩摩。鮮やかに秋草が描かれている色絵薩摩ですが、中でも金彩が実に美しく見事な逸品と感じられました。茶杓は一元斎作、銘「鳴子」。蓋置は朝日焼、松村猶香斎の作。何を模したのか不思議な形、若宗匠のお話によると御子息十五世豊斎氏に尋ねられたところ「臼」ではないかと。色合も造形も面白く拝見。また菓子はいつものように地元珍重庵製。
男成洋三宮司様がお話し下さいましたが、来年は那智大社様が創建一七〇〇年目にあたり、お家元の御献茶勤仕もちょうど十回目で記念の年になるとのこと。来年への期待も膨らんだ今年の「御献茶式」「記念茶会」でありました。









  |  

▲このページのトップへ戻る