「杉本玄覚貞光 侘び寂展」
若宗匠添釜
十二月四日(金)
ご宗家とも御縁の深い杉本貞光様の個展「侘び寂展」が昨年末新宿の京王百貨店6階「京王ギャラリー」において開催され、会期中の四日(金)には若宗匠が併設の茶室「京翔」にてお席を持たれました。なお杉本様は平成二十六年に臨済宗建仁寺派管長・小堀泰巖猊下より玄覚貞光の戒名をいただいたとのこと。
当日は若宗匠がお点前をされ、半東は峯雪先生が務められました。また杉本様もお席入りされ、ご自作とともに主茶?のご流祖手造の赤楽につて作家の視点から興味深いお話があり得難い経験ができました。この日のお道具組の中での杉本様の作品は花入と水指。いずれも伊賀で堂々たる存在感がありました。
床の御軸はご流祖筆「瀧の画讃」
木枯らしやちょろ??ひびく瀧の音
十二月もようやく寒くなってきましたので、この日の気分と合った御軸でした。お花は木を添えた見事な牡丹。また香合は個展を祝しお目出度く恵比寿様が蓋に座したもの。四代鶴叟宗匠の箱書に吉兵衛焼と記されている滋賀・八田焼で、京焼と信楽焼の双方からの影響を受けている作であるとお教えいただきました。
茶器は蔦木地の時代の金林寺棗。主茶?はご流祖作赤楽で銘「玉椿」。薄手で小振りながら、内側の篦遣いが特徴的であるとのお話。替茶?は砂手御本。渋い色合ながら明るい「京翔」の席中で映えていた二?でした。
茶杓は一元斎宗匠作の銘「寒菊」。そして蓋置は大亀老師在判、白竹を削いで作られた立派な竹の蓋置。
若宗匠と杉本様の出会いは大亀老師の許で修行されていた頃のこと。ともに大亀老師に学ばれた思い出をお客様方にお話になりますと、親しげで暖かな雰囲気に包まれていったお席となりました。