川崎大師「御供茶式」
神奈川支部「秋季茶会」
十月十一日(日)
秋の恒例行事であります川崎大師平間寺様での「御供茶式」が、今年も十月十一日に執り行われました。お家元の御供茶勤仕も二十八回目に。あわせて不白会神奈川支部様による「秋季茶会」も開かれ、「御供茶式」とともに多くの方々がご参加になりました。
この日は小雨の振る空模様でしたためお練りは取りやめに。信徒会館より渡り廊下を通って大本堂へ先ず御貫首藤田隆乗猊下はじめ僧侶方が、そしてお家元、翠鶴先生、若宗匠、峯雪先生、ご社中の皆様がご入堂になり、大導師猊下による特別大護摩法要が開始されました。
堂内は江戸千家関係者および一般のご参詣の方々ですでにいっぱいに。ご案内に従い参列者全員で御宝号「南無大師遍照金剛」を五たび唱え、「祈願文」が読み上げられ、読経の声が流れ、大護摩の炎が立ちはじめた頃、紫色の布に囲われた段上の点前座にお家元が進み出られて御供茶点前に。今回も半東には若宗匠がお入りになり、点てられた御茶は若宗匠によりお控えの僧侶方に手渡され、そのまま御宝前に供えられました。
その後大護摩の炎がさらに高く立ち昇りますと、読経の声もより一層大きくなり、多くのご参詣の方々が一心に合掌して御宝号と唱えておられました。
神奈川支部の皆様による今年の「秋季茶会」は、次の三席でした。
〈第一席〉中書院「広間」(濃茶)
霜田宗岱
〈第二席〉中書院「光聚庵」
風間宗穂
〈第三席〉客殿前総受付前(立礼)
小山宗啓
〈第一席〉は小間仕立で秋の稔りをイメージしたというお道具組。雲龍風炉に雲龍釜の取り合わせや、お茶碗では出雲楽山窯の九世空味と十二世空郷を並べるなどと誠に見どころの多いお席。その他ご流祖作の花入の銘である「東方朔」についてや、水指の伊賀七度焼にまつわる話など、興味深い話題を多くお聞かせいただきました。
〈第二席〉は風間宗穂様がお席主であり、お道具組までされましたが、直前に急病になられ、当日は小邑宗和様がご亭主役を務められました。
こちらでは雪輪棚に備えられた安南の水指が色合いも絵柄も独特で面白く、また山水蒔絵の大棗と亀甲蒔絵の茶杓のコントラストが効いておりました。
〈第三席〉は立礼席で、何と言っても高円卓に置かれた水指が目を引きました。青海波の描かれた浅黄交趾とのことですが、これまで見たことのないような色の際立ち方に驚かされました。
その他、各席お道具組の詳細は下記のお会記を御覧下さい。
【当日の会記】
〈第一席〉中書院広間(濃茶)
主 霜田宗岱
床 家元筆 松風聲
花 スズバラの実、小葉のズイナの照葉、浜菊
花入 不白作 銘 東方朔
当代閑雪宗匠極
香合 蓬莱山 翠香造
脇 不昧好 竹蘭蒔絵平安 象彦造
風炉 雲龍鉄風炉
釜 雲龍釜 杖つき
風炉先 一元斎好 菊桐
水指 伊賀 寺垣外 杉本貞光造
茶入 瀬戸春慶 銘 知足
当代家元箱
仕服 国司間道
茶碗 出雲 楽山窯
九世長岡空味造
副 十二世長岡空郷造
茶杓 大亀老師 銘 菊の香
建水 木地 曲
蓋置 尾戸焼 秋草
御茶 千代の昔 味岡松華園詰
菓子 きんとん 龍月製
器 糸目銘々盆
〈第二席〉中書院光聚庵
主 風間宗穂
床 前大徳瑞巌筆
無事是貴人
花 トリカブト ヤハズススキ 白花時鳥 みかえり草 山ごぼう 桔梗 オヤマボクチ あわこばね菊 アマシの葉
花入 時代手付籠
香合 丸銀地秋草 光悦作
風炉釜 鬼面風呂 治良兵衛作
先 紅木
棚 雪輪棚
水指 安南
茶器 大棗山水蒔絵 桂山作
茶碗 宗鶴師楽 銘 八千代
当代箱
替 乾山写 雲錦 道八造
茶杓 当代好 亀甲蒔絵 筒箱共
建水 エフゴ
蓋置 銀杏
御茶 深雪の白 小山園詰
菓子 秋乃月 打出庵大黒屋製
器 松図鉢 三浦竹軒造
〈第三席〉客殿総受付前(立礼)
主 小山宗啓
床 当代筆 祥雲
花 虎の尾 天神草 つりがね草
花入 臑当花籠 鱗司作
香合 浮御堂古材 屋形
舟誠中作
釜 糸目 十二代美之助造
棚 高円卓
水指 浅黄交趾 青海波 翠嵐造
茶器 雪輪蒔絵 丕俊作
茶碗 飴釉 九代長左衛門造
替 楽山焼 十代空処造
茶杓 当代作 銘 好日
建水 高麗黒釉 清水久嗣造
蓋置 当代花押箱共 萩千切
十四代新兵衛造
御茶 銘松の齢 松華園詰
菓子 月 たそがれ 鶴屋八幡製
以上