不白会東京支部特別会員研究会
二月十五日(水)
護国寺でのお茶会の四日後、こちらも早春の恒例であります「不白会東京支部特別会員研究会」が二月十五日(水)に江戸千家会館にて開かれました。平日の開催でしたが、今回も三階大広間に多数の皆様がご参集になりました。
午前十一時、開会の御案内とともにお家元と若宗匠より御挨拶があり、御宗家初釜に大勢様がお見えになったことへ御礼を述べられました。続いて本日の講習内容の説明がありましたが、この後今回特別にお家元より改めてお話がありました。ちょうど現在も地方での初釜が続いていることに関連し、お家元が、「嶋台茶碗」についてあまり詳しくご存じではない方々が多いように感じられたため、改めて「嶋台」とは何か、ご流祖が如心斎宗匠より頂いた理由と経緯、そして無学和尚筆の箱書についてなど、非常に分かり易くお教え下さいました。特に当方などは未知の事柄も多く得難いお話ばかりでしたが、それとともに毎年拝見しながら無学和尚の箱書を熟読していなかったことを強く反省もいたしました。
さて、今回の講習内容は次のとおり。
〈午前の部〉席入り・炭点前・組合せ
〈午後の部〉花月付且座・雪月花
〈午前の部〉は大広間中央に三畳台目のお席が設えられての講習。正客・次客・三客・お詰そして東の五名のお名前が呼び上げられて開始。まずお席入りから始まり、炭点前、香合の拝見、懐石は略しお菓子を頂いて中立、再び席入りして組合せ点にてお濃茶、と進行してゆきます。いつものようにお家元は近くからお気づきの点をご指導になります。特に席入りの際の間合いの取り方や、御挨拶のタイミングなどを細かに教授されておりました。なお床の御軸はご流祖筆の一行「清風生蓬莱」。お花は加茂本阿弥と檀香梅。
昼食後、〈午後の部〉は翠鶴先生より御挨拶を頂戴し、八畳での「花月付且座」から始まります。正客・次客・三客・東・半東の計五名様での講習となります。
まずは且座の形式で、正客が花を生け、次客は炭をつぎ、三客が香を焚きますが、この間大変に忙しいのが半東に入られた方。前半は半東の動き方が重要なのだと今回よく分かりました。主客ともに聞香し、東が濃茶点前、半東が薄茶を点て、正客から折据が廻り始めて花月へと移ります。
「花月付且座」だけでも十分に重いものですが、続く「雪月花」も十二畳半に八名様が入る大きな講習。また今回は初めて「雪月花」に入られるという方が多かったため、お家元の御教授もより緻密で、何度も立ち上がられては丁寧に指導されておりました。札の位置や折据の置く場所についてはこれまでもたびたび御注意がありましたが、今回は特に半東を務める場合の札を収めるタイミングや、御茶を出す間の取り方など、非常に微妙な間合がここでずれると、この後の入れ替わりに支障を来すことを強調されておりました。またお点前に際しても、御茶を点ててから、「ひと膝抜いて」(膝の幅一つ分右へ動く)、お茶盌を出して折据を取るという一連の動きについて細かく指導されました。
充実した「特別会員研究会」もこれにて終了。いつもより時刻が遅いのは内容の濃かったため。緊張感が解けて皆さん、ほっとしたお顔で御茶とお菓子を召し上がっておられました。ちなみにお菓子は春らしく鶴屋八幡製「うぐいすもち」。
お家元は三日前には仙台支部の初釜に赴かれ、この週末には青森支部と弘前支部の初釜に行かれるという大変にお忙しい日程の合間での研究会でしたが、熱心に御指導される御姿がいつも以上に印象的だった「特別会員研究会」でありました。