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2017年10月15日 御創建一七〇〇年奉納行事熊野那智大社「御献茶式」「記念茶会」

2018年04月20日(金)

まずは先月号では写真のみの御紹介になりました熊野那智大社様での「御献茶式」および「記念茶
会」を御報告いたします。
毎年十月第一週の日曜日に行われますお家元の御献茶勤仕でありますが、本年は「御創建一七〇〇年式年大祭」の翌日十月十五日に奉納行事の一環として執り行われました。また御献茶勤仕も今年はちょうど十年目という節目の年に当たることから、例年以上に多くの方々がご参集に。なお前日の「式年大祭」にはお家元も御参列されたとのことであります。
御献茶式
本年の御献茶式は御瀧前ではなく拝殿にて午前十時より行われましたが、前述の通り定刻前には用意の席がなくなるほどに。男成洋三宮司様、お家元、若宗匠が着座されますと大太鼓の音が響き御式が始まります。
「修祓の儀」「祭主一拝」、そして御神餞が献じられ、ご祭主による祝詞の奏上に続いて、お家元と若宗匠が昇殿され御献茶点前に。例年の如くお家元がお点てになった濃茶、薄茶の二碗はそれぞれ若宗匠より御神職に手渡され御神前に献じられました。御献茶が終わりますとご祭主が玉串を奉り一拝。参列者を代表してお家元も玉串を奉り拝礼、これに合わせて参列者全員も起立し二礼二拍手の拝礼を行います。最後に改めてご祭主が御神前で一拝され、参列者も起立し拝礼して御式は滞りなく終了いたしました。続いて男成宮司様より御挨拶があり、十年連続の勤仕への感謝とともに、本日の御献茶を「神様もさぞかし御嘉納されたことと思います」との御言葉に、お家元も笑顔で会釈をされておりました。
御献茶式終了後、お家元、翠鶴先生、若宗匠は社務所応接室へ赴かれましたが、こちらでは男成洋三宮司様より十年連続の御献茶勤仕に対し「感謝状」がお家元へ贈られ、お家元は恐縮されつつも大変に感激された御様子でありました。
記念茶会
「記念茶会」は境内〈斎館〉にて。「拝服席」はお家元席、「副席」として表千家くまの清和会様のお席が設えられておりました。
「拝服席」では若宗匠がお点前をされ、峯雪先生が半東をお務めに。お家元も毎回御挨拶をされ「遠方よりお出まし下さり有難うございます」とお客様方に御礼の言葉を述べられておりました。
床の御軸は如心斎筆「飛石の画讃」
茶ノ湯には 梅寒菊に水仙花
青竹枯木 暁の霜
唐物写の木耳籠には丘虎の尾の照葉、小真弓、紀伊上臈杜鵑草、深山竜胆、龍脳菊の五種。そして杣田貝の螺鈿細工が美しい青貝香合。
菊地紋の真形釜に桐地紋の透木風炉は文政年間の名越弥五郎の作。総梨地の米棚は実に豪華で重厚感のあるもの。こちらに置かれた水指は砂金袋型で四季の花を丸紋にして散らしてある色絵薩摩。茶器はご流祖好一輪菊蒔絵の平棗。どちらも米棚と調和する明るさがありました。
主茶盌はご流祖手造の赤樂。正面に白く雁の画がありますが、ご流祖作の中でも取り分けて厚く重いお茶盌で、お客様方よりも驚きの声があがっておりました。また替茶盌はご流祖所持の唐津三島で銘「老亀」。茶杓は啐啄斎作で共筒もある銘「千歳」。ご流祖の共箱も添っておりました。
今年は御創建一七〇〇年奉納行事ということで、地元紙2社や和歌山放送の取材が入り、お家元は御式やお茶席の合間にインタビューを受けられるなど、いつになく賑やかな雰囲気の中で開かれた「御献茶式」「記念茶会」でございました。
(「孤峰―江戸千家の茶道」平成29年12月号より)




男成洋三宮司様と談笑されるお家元
〈記念茶会〉お点前をされる若宗匠
和歌山放送の取材を受けられるお家元


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