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2018年4月8日 東京茶道会茶会(四月)

2018年09月27日(木)
四月の「東京茶道会茶会」が八日の日曜日に護国寺において開かれ、江戸千家からは大内宗心様が〈不昧軒〉にてお席主を務められました。
〝花祭り〟のこの日、境内では甘茶のご接待があり、染井吉野は葉桜になったとはいえ、満開の八重桜が風に揺れ、珍しい御衣桜という黄桜も咲く誠に春爛漫の趣き。晴天にも恵まれ、暑からず寒からず絶好のお茶会日和となり、いつにも増して多くのお客様がお出になりました。
〈不昧軒〉ではまず床の御軸を拝見。幕末の高僧、大徳寺四四七世拙叟和尚筆の「露堂々」。有名な禅語「明歴々露堂々」から採られていますが、文字通り堂々とした筆遣いに圧倒されます。またその意味も、(真理は)一点の隠す処もなく眼前に露(あらわ)れてということで、実に清々しい気持ちになります。古銅の花入にお花は虫狩と椿は伊豆日暮。香合は赤絵の呉須でしたが色彩的に良きアクセントになっておりました。
脇床の硯箱も藤と杜若の蒔絵が見事で、時代を経た金蒔絵の静かな美しさが〈不昧軒〉と調和しておりました。
釜は根来茂昌作、ご流祖好透木の富士釜。松の地紋に撮みと鐶付が松笠という精緻な作。桐木地の双鶴棚も季節感に合ったもので、水指も渋い色合ながら艶やかさがある朝鮮唐津。茶器は辻雲斎作、柳蒔絵の平棗。こちらも柳の画が緻密な金蒔絵で描かれた逸品でありました。
主茶盌はご流祖作の赤樂で銘「巌」。御銘の通り「立派なお茶盌ですね」との声を多く耳にしました。替茶盌は陳元贇(ちんげんぴん)作の安南。軽く図柄もモダンでおしゃれだとこちらも好評。二盌とも母上から伝わったとのことで、どちらにも使い込まれた色合と佇まいの美しさがありました。なお陳元贇とは明代末の文人。乱を逃れ日本に渡り、尾張徳川家に仕え多くの文化を伝えましたが、作陶もその一つだそうです。
茶杓もご流祖作の銘「一聲」。共筒に〝金澤ノ松〟と記されておりましたが、何よりもその造形がご流祖の作風とはかなり感覚的に違う茶杓でしたので、御流儀の方々は特に驚かれていたようです。
その他のお道具組の詳細につきしては下記のお会記をご参照いただくとして、お客様方から「先生のお席はいつもゆったりとしていますね」との声があがったように、しっとりとした落ち着きを随所に湛えた〈不昧軒〉のお席でありました。
〈会記〉
平成三十年四月八日
東京茶道会茶会
於 音羽護国寺 不昧軒
主 大内宗心
床 露堂々 拙叟宗益筆
花  伊豆日暮 虫狩
花入 古銅
香合 呉須
釜  不白好 透木釜 茂昌造
風炉先 雪輪
炉縁  丸紋蒔繪
棚  双鶴棚 家元箱
水指 朝鮮唐津
茶器 柳 平 辻雲斎造
茶盌 流祖不白作 赤 銘 巌 箱共
替 陳元贇 造
茶杓 不白作
銘 一聲 金澤ノ松 筒共
建水 狂言袴
蓋置 三ツ人形
御茶 寿泉の白 ほ里つ詰
菓子 若みどり ふくや製
器 線漆一閑八角重 壽亭作
以上

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