トップページ > 2018年5月27日 第十八回弥生会

2018年5月27日 第十八回弥生会

2018年09月27日(木)
十八回目となりました「弥生会」が五月二十七日の日曜日に江戸千家会館にて開かれました。前日に南九州が梅雨入りしたものの、この日の東京は暑からず寒からずの快晴。九時半の開始時刻から続々と大勢様がご参加になり、終日大賑わいのお茶会となりました。
毎度繰り返しになりますが、「弥生会」は初心者の方々に気軽にお茶会に親しんでいただこうとの御発意から始まったもので、今回もお茶席二席と点心席が設けられました。
第一席〈担雪軒〉では翠鶴先生がお席主を務められ、お点前も若宗匠と交代なされました。また半東には峯雪先生が入られ、お家元も毎回御挨拶にお出ましになり、和やかにお道具組などについてお話して下さいましたので、お客様方も大変に感激されておりました。
床の御軸はご流祖筆「ホトトギスの画讃」〝ながれ矢のどこへそれたか郭公(ほととぎす)〟。鵜飼の花入にお花は、姫百合、笹百合、野菖蒲、京鹿子、紫蘭などがたっぷりと。香合は堆朱で柳に船頭という面白い構図が彫り出された作でしたが、ちょうど一週間前から長良川の鵜飼も始まり、花入の鵜籠とともに季節感が伝わってまいります。
ご流祖好、透木の菊桐風炉釜は〝ナリドウヤ〟京三条釜座・西村道也の作。桐木地に丹塗りの丸柱の方円棚がとても涼しげで、こちらにはご流祖好の南京染付の水指と金地に菊水蒔絵の棗。特に水指は累座のある太鼓胴に獅子頭の耳付という独特の造形を皆様も興味深く拝見。風炉先は時代の流水紋。
大きく風格のある主茶盌はご流祖作の赤樂で銘「粟津」。ご存じ近江八景の一つ「粟津晴嵐」よりの御銘ですが、白波立つ水面と幾艘かの舟が大胆な構図で描かれておりました。替茶盌はご流祖所持の唐津三嶋で銘は「老亀」。薄作で土の色がそのまま出たような素朴で侘びた佇まいが印象的な平茶盌です。茶杓は一元斎作の銘「青葉」。五徳型の蓋置は献上薩摩で七種の内の一つ。赤坂塩野製の銘「初螢」も涼やかで美しい御菓子でした。
第二席〈広間〉のお席主は茨城支部長・鈴木宗芳様。支部の皆さんが多くお手伝いに入られたこともあり、とても親しみやすい雰囲気に包まれておりました。
まずは〈広間〉席のお会記を掲載いたします。
〈会記〉
主 鈴木宗芳
床 当代家元筆
和 敬
花  螢袋 京鹿子 下野
黒種草 升麻
花入 籠
香合 唐物堆朱
風炉釜 唐銅切合せ
先  一元斎好 菊桐透
棚  好 雪輪棚 青漆爪紅
水指 祥瑞 二代蔵六造
茶器 塩釜棗蒔絵 司光造
茶盌 若宗匠手造 銘 碧雲
替 青楓 善五郎造
茶杓 大亀老師手造
銘 南山寿
建水 御深井 豊徳造
蓋置 御本雪輪
御茶 好 深雪の白 小山園詰
菓子 山百合 鶴屋八幡製
器 高取 味楽造
以上
お家元筆の横物「和敬」は柔らかな筆遣いと花兎の中廻しから穏やかさが伝わってくる御軸でした。花入は鶴首の木籠。また青漆爪紅の雪輪棚と二代真清水蔵六作・瓢箪型の祥瑞水指が季節感溢れるお取合せと好評でした。細川司光による塩釜蒔絵の棗もこの時季に相応しい茶器。松林に浜辺、塩焼の小屋、そして塩釜から流れる煙などが緻密に描かれており、さらに塩釜には螺鈿が嵌め込まれているという実に凝った逸品でありました。
主茶盌は若宗匠手造の銘「碧雲」。艶やかですっきりとした作は、若宗匠としては珍しい手捻りのお茶盌だと承りました。艶やかといえば飴色の茶杓も美しく、こちらは大亀老師作の銘「南山寿(なんざんのじゅ)」。大変にお目出度い言葉で、出典は中国の古典『詩経』。長安の南にある終南山がいつまでも崩れないように事業が永遠である意から、人の長寿を祝う言葉になったと。ここにお家元の御長寿と御流儀の弥栄を祈念されたとお席主の鈴木様はお話下さいました。
初心者の方々のために拝見の時間をたっぷりと取って下さるのも「弥生会」ならではのこと。特に今回〈担雪軒〉では主茶盌にご流祖の作風が最も表されているとお家元がお話になり、その特徴的な低い高台などを指しながら丁寧に解説して下さいましたのは誠に有難い機会であり、多くの方々が貴重な経験をされたことと思います。

23-1

23-2

23-3

23-4

23-5

23-6

23-7

23-8


  |  

▲このページのトップへ戻る