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2018年10月7日 熊野那智大社「御献茶式」「記念茶会」

2018年11月19日(月)
「孤峰忌」より三日後の十月七日、毎年恒例の熊野那智大社様でのお家元による御献茶勤仕が行われました。お家元は十一年連続の勤仕であります。
今年は雨の多かった熊野でしたので天候が心配されましたが、朝から見事に晴れ上がり、御瀧前での「御献茶式」に立ち会えたのは実に嬉しい想いでした。また例年以上に御瀧の水量が豊富でしたので、取材中の当方まで飛沫を浴びたのは初体験。「延命長寿の水」を全身に感じつつ御神縁の有難さに感謝した次第です。

御献茶式

御献茶式は別宮飛瀧神社、那智の御瀧の前にて。今年は上野道善猊下とともに那智勝浦町町長・堀順一郎様が初めて御参列されましたので、地元メディアの取材も多く、いつになく賑やかな雰囲気の中でのお式となりました。
午前十時、男成洋三宮司様はじめ神職の方々がお出ましになり、大太鼓の音が熊野の山々に響き渡ります。お家元、翠鶴先生、若宗匠、峯雪先生、智大様、そしてご社中の皆様方も着座され、御献茶式が始まりました。
まず御斎主よりの「修祓」を受け、「斎主一拝」「献餞の儀」と続き、御斎主による「祝詞奏上」が終わりますと「献茶の儀」との御案内。本年は若宗匠が点前座へお進みになり、御献茶点前をされ、半東を智大様がお勤めになりました。若宗匠がお点てになった濃茶、薄茶の二碗は、智大様から神職の方へ渡り、御瀧前の祭壇に献じられました。
御献茶点前が終わりますとまず御斎主の玉串拝礼、続いて参列者代表による玉串拝礼となり、初めにお点前をされた若宗匠が、次に上野道善猊下、堀順一郎町長、そしてお家元がそれぞれ玉串を奉って御瀧に拝礼されました。「撤餞の儀」を経て、改めて御斎主が御神前にて一拝されますと、参列者全員もこれにあわせて起立し拝礼いたしました。最後に男成洋三宮司様より御挨拶を賜りまして御式は恙なく終了。気持ちの良い青空の下、飛沫を浴びつつ御瀧の瀑声に暫し耳を傾けておりますと、自然と心が清められてゆくように感じられた「御献茶式」でありました。

記念茶会

現在那智大社様境内では拝殿が改修工事中。そのためいつもお茶会が開かれている〈斎館〉は仮の御祈祷所となり、「記念茶会」は社務所三階へ移って行われました。
三階「玄武の間」がお家元による〈濃茶席〉。同じく三階の「大広間」では今年も表千家くまの清和会様がお席を設えて下さいました。但し「大広間」は洋間であるため、今回は立礼での〈薄茶席〉となりましたが、例年とはまた違うくまの清和会様のお席を、皆さん十分に楽しまれてゆかれました。
〈濃茶席〉ではお家元が笑顔でお客様をお出迎えに。お点前は若宗匠がされ、半東には引き続き智大様が入られました。
お道具組は、基本的には三日前の「孤峰忌」でのものを踏襲されたとのこと。床の御軸はご流祖筆「利休居士茶観」。艶やかな光沢とどっしりした存在感のある花入はご流祖作の寸胴花入で銘は「俵」。こちらには松村草と紫酔、そして境内でも咲き誇っている紀伊上臈杜鵑草が生けられておりました。
菊地紋の真形釜に桐地紋の透木風炉は文政年間の名越弥五郎の作。これに如心斎好桑木地の捻梅の風炉先と伊部焼木瓜型の水指というお取り合せには濃茶席らしい落ち着きが伝わってまいります。茶入はご流祖作の赤樂で銘「六祖」、お茶盌は明堂老師筆の箱書が添う高麗三島。出袱紗は青海波に千鳥模様の金襴。茶杓はご流祖作の銘「落葉」。竹の蓋置は一元斎在判。御茶は宇治上林詰「奥昔」で御菓子は地元珍重庵製の「初紅葉」。
今回初めて知りましたが、崖に沿うように建てられた社務所からの眺めは誠に見事で、熊野の山々が遠くまで一望できました。思いがけず素晴らしい眺望とともに美味しく御茶を頂戴いたしました今年の「記念茶会」でした。

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