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第三十八回 朝日カルチャーセンター茶会

2016年05月2日(月)

第三十八回
朝日カルチャーセンター茶会
三月二十七日(日))

三月二十七日の日曜日、音羽・護国寺にて第三十八回となる「朝日カルチャーセンター(朝日JTB・交流文化塾)茶会」が開かれ、江戸千家では〈牡丹の間〉にて翠鶴先生がお席主を務められました。
本会は毎回繰り返しになりますが、日頃より朝日カルチャーセンターの新宿教室にてお稽古をされている皆さんによるお茶会でありまして、お点前、半東、お運び及び水屋でのお仕事などを順番に務められておりました。
当日は翠鶴先生だけでなく新宿教室で講師をお務めの今野宗博様がお点前、水屋の御指導に当たられ、あわせてお道具組もなされたとのことでありました。
茶席・香席があわせて七席も設けられた大掛かりなお茶会でしたが、好天にも恵まれ、多くのお客様方が春の一日を楽しまれてゆかれました。
〈牡丹の間〉では毎回翠鶴先生がお客様に御挨拶をされ、今野様が丁寧にお道具についてお話に。その詳細は以下に記載します当日のお会記を御覧いただくとして、他の御流儀の方々や若いお客様が多いのがこのお茶会の特徴なので、出来るだけ江戸千家らしいお道具組をなされたと承りました。
床の御軸はお家元筆「風暖柳仍緑」。暖かなこの日の気分に合った一行でした。花入は高橋楽斎作、下蕪形の信楽。こちらには翠鶴先生が崑崙黒の椿とキブシ(木五倍子)を生けられましたが、崑崙黒の濃い色合とキブシの柔らかさが調和し美しく感じられました。香合は中国で求められたという青磁の桃。
釜はこの時季らしく透木釜でご流祖好「浪花屋釜」の写。本歌と同じく松の地紋に鐶付も撮みも松毬(まつかさ)が象られた所謂富士釜の一種。「浪花屋」の由来についてなど、皆さん興味深げにお尋ねになっておりました。
同様に御質問が多かったのが青漆爪紅の雪輪棚。なるほど江戸千家らしいお棚なのだと納得した次第です。この雪輪棚にピタリを収まった水指は六角の祥瑞写で京都の高野昭阿弥作。
茶器は輪島の山本俊斎作の塩釜蒔絵。金蒔絵ながら渋い色合で、松林を中心にした浜辺の風景が描かれており、春らしい長閑な雰囲気が伝わってまいります。
主茶?は九代長左衛門作、大樋焼の赤。正面に金彩で宝珠が描かれてあり、その深みのある発色が独特。また替茶?が萩焼としては白味の強い色でしたので、その鮮やかな対照を面白く拝見しました。
茶杓はお家元作の銘「春霞」。万事春らしい気分が横溢したお席でありました。
月二回と限られた回数の中で御稽古を積まれてきた皆さんにとってはとても大切なお茶会。当然緊張感も漂いますが、滞りなく進む一席々々を拝見しつつ、先生方の御指導の成果が見事に結実していると感じられたこの日の〈牡丹の間〉でした。
〈会記〉
平成二十八年三月二十七日
於 音羽護国寺 牡丹の間
床 家元筆
  風暖柳仍緑
脇 鎌倉彫牡丹硯箱
花  崑崙黒 木ぶし
花入 信楽 楽斎造
香合 青磁 桃
釜  不白好浪花屋 根来造
 炉縁  大燈紋雪輪
 風炉先 雪華紋
棚  雪輪 青漆爪紅
水指 祥瑞写 六角昭 阿弥造
茶器 塩釜蒔絵 俊斎造
茶碗 赤宝珠 長左ヱ門造
    家元箱
 替 萩 陶兵衛造
茶杓 当代作 筒箱共
    銘 春霞
 建水 毛織 浄益造
 蓋置 三閑人 永寿造
御茶 深雪の白 山政小山園詰
御菓子 若草 半田松華堂製
 器  朝日輪花鉢 豊斎造
以上







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