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2019年4月14日 東京茶道会茶会(四月)

2019年06月28日(金)
四月の「東京茶道会茶会」は十四日(日)に護国寺において開かれ、江戸千家からは大河内宗紗様が〈楓の間〉にてお席主を務められました。
朝から時折陽が差すものの薄曇りの一日。染井吉野は葉桜ながら、八重桜などが咲き、春の風情が濃厚な境内には多くのお客様がお出ましになっておりました。
大河内様は本日が「東京茶道会」では初めてお席主とのことで、平成最後の「東京茶道会茶会」が〝お席主デビュー〟のお茶会となったことに、不思議な御縁と有難さを感じていらっしゃると伺いました。
〈楓の間〉の床にはご流祖筆の御軸が掛けられましたが、その大胆な筆遣いに驚かされます。まず中央に(画のようにも見えますが)大書で「竹」。その右に「此君葉々清風起」、左に「米壽不白」とあります。此君は竹の意ですが、これは『虚堂録』巻七にある「相送當門有脩竹 爲君葉葉起清風」(相(あい)送りて門に当れば修竹有(しゅうちくあり)、君が為めに葉葉清風(ようようせいふう)を起す)をご流祖が調えられたものと思われます。虚堂禅師が旅立つお弟子を見送る際、門前の脩竹の一葉一葉が別れを惜しむように清風を起こした。清らかな師弟の心情が感じられるという一節。「平成」から「令和」への橋渡しに相応しい清新な気がお席を満たします。またこれが米寿の書という驚きもお客様方にはあったようです。
大亀老師作の竹一重切花入は銘「佳日」。〝お席主デビュー〟らしい御銘であります。こちらには玉之浦椿と木五倍子が生けられ、染付の隅田川香合は南紀男山焼という珍しいもの。
釜は三条釜座・西村家四代道爺作の尻張釜。大徳寺の常住釜だったそうで、正面に「龍寶山茶堂」、向正面には「大徳寺常住釜」と陽鋳されており、肩から胴のラインがスッキリとした作でした。炉縁は雪華紋と大燈紋の金蒔絵。
青漆爪紅の雪輪棚はこの時季らしく、お家元在判、辻常陸作の水指は末広型で白地に色とりどりの大燈紋が散らされた明るさのあるもの。茶器は豊平良彦作、山吹蒔絵の平棗。蓋を取ると立上りにまで細かな蒔絵が施されており、その緻密さにお客様方も驚かれておりました。
主茶碗はお家元手造の黒樂で銘「喜雲」。立派な佇まいながら手に取ると薄作りで軽いのでこちらも吃驚。黒樂とは対照的に、鶯色の地に金で流水四君子紋が描かれた華やかな替茶碗は京焼の一種、花蝶窯・手塚石雲の作。お茶杓は一元斎作の銘「青葉」でありました。どちらも御軸に合わせて選ばれたものと思われます。
有田焼・井上萬二作の白磁輪花鉢の菓子器も好評で、その他お道具組の詳細は以下のお会記を御参照いただきたいと存じますが、広間の〈楓の間〉をあえて仕切って八畳のお席にされたことでお客様との親近感が増し、初めてお席主を務められるという緊張感とも重なって、とても清々しさが印象に残ったお茶席となりました。
〈会記〉
平成三十一年四月十四日
東京茶道会茶会
於 音羽護国寺 楓の間
主 大河内宗紗
床 流祖筆
竹 此君葉々清風起
花  玉之浦椿 木五倍子
花入 竹一重切 立花大亀造
香合 隅田川 南紀男山
釜  尻張釜 大徳常什 西村道爺造
炉縁 一元斎好 雪輪紋 家元箱
風炉先 雪華紋
棚  雪輪棚 青漆爪紅
水指 辻焼 大燈紋 辻常陸造
家元在判
茶器 平棗 山吹 豊平良彦造
茶碗 黒樂 銘 喜雲 家元作
替 四君子 花蝶窯 手塚石雲造
茶杓 一元斎作 銘 青葉 共筒箱
建水 袋形 浄益造
蓋置 萩 千切 休雪造
御茶 寿泉の白 ほ里つ詰
菓子 藤棚 福島屋製
器 白磁 輪花鉢 井上萬二造
以上

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