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茶筅供養と 東京茶道会茶会(十二月) 若宗匠席持

2016年01月12日(火)

茶筅供養と
東京茶道会茶会(十二月)
若宗匠席持
十二月六日(日)護国寺
十二月の東京茶道会茶会は六日に開かれ、若宗匠が〈宗澄庵〉にてお席主をお務めになりました。
またこの日は恒例の「茶筅供養」が九時三十分より執り行われ、東京茶道会の各御流儀の宗匠方および門人の方々が大勢様お見えになり、ご宗家からもお家元と若宗匠、そして今野宗博様がご列席になりました。
やや寒いとはいえ快晴の空。遅ればせながらも境内の紅葉は今が真っ盛り。昨年同様月光殿にある「茶筅塚」前にてご法要が始まりました。護国寺の僧侶方による読経が流れるなか、まず東京茶道会の理事長であるお家元が最初進み出られて茶筅を供え、丁寧に手を合わせておられました。続いて役員の宗匠方、そして各御流儀の関係者の皆さんが順次茶筅を供え合掌。若宗匠や今野様もご供養をなされ、今年一年使われた茶筅への感謝を込めた「茶筅供養」が今年も滞りなく終了いたしました。

〈宗澄庵〉では若宗匠がお点前もされ、半東は峯雪先生がお務めに。
床の御軸はご流祖筆、鉢叩きの画讃「花も実も ぬけた音なり はちたゝき」。「鉢叩き」とは鉢や瓢箪を叩きながら空也念仏を広める勧進だったものが、近世に半僧半俗の芸能者による門付芸となり、特に京都では「空也堂」を中心に年末の風物誌に。意外なのはこの人たちが普段は茶筅の製造販売を生業としていることで、師走でもあり、またこの日が「茶筅供養」だったことにも因んでこの画讃を掛けられたとのこと。お正月が近いことから花入も杵型で樂家十代旦入の作。こちらには翠鶴先生によって加茂本阿弥に大きく?梅の枝が添えられておりました。香合は五角形の織部。蓋甲に蜘蛛の巣のような図柄があり、歳末の煤払いをイメージされた組合せ。
釜は越前芦屋(古芦屋)の油屋釜。甑口に輪違紋、胴に松竹梅があるそうですが、かなりの時代のもののため今ではほぼ無地のお釜に。四代鶴叟宗匠筆の箱書にわざわざ「傳來」と記されていることからご流祖の頃からある釜であろうと若宗匠のお話。炉縁は大徳寺古財。
水指は瀬戸の渋紙手。鉄釉による渋紙色の深い発色が薄暗い〈宗澄庵〉の雰囲気と合っておりました。茶器は黒の中棗。無学和尚の在判在銘。蓋裏には花押とともに「冬」と。
主茶?は樂家七代長入作の赤楽「臨済写」。本歌は長次郎七種の一つながら現存先は不明。口作りが臨済宗に所縁の京都五山を想わせることから「臨済」の銘に。長入の共箱にはご流祖の極。さらに外箱には十代旦入と樂家御当代による両筆の極があるお茶?。替茶?は若宗匠が「これが一番温かそうに見えた」という暦手(三島手)茶?。
茶杓は表千家六代覚々斎宗匠作、銘「歳暮」。くれぐれもクリスマスの「聖母」とお間違いにならないようにと若宗匠が話されますとお客様方も笑顔に。蓋置は大燈紋を象った萩焼で十二代坂高麗左衛門作。建水は朝鮮唐津の輪花。御菓子は虎屋製で寒牡丹のイメージ。菓子器は縁高。
十二月に入って早々のお茶席でしたが、しみじみともう師走なのかと感じられた季節感にあふれたお席でありました。




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