トップページ > 2019年10月20日 埼玉支部五十五周年記念茶会・祝賀会

2019年10月20日 埼玉支部五十五周年記念茶会・祝賀会

2019年12月13日(金)
十月二十日の日曜日、さいたま市のさいたま新都心にありますホテル ブリランテ武蔵野において、不白会埼玉支部の五十五周年をお祝いする記念茶会が開かれ、近隣支部の皆様のみならず、全国から多くの方々がご参加になりました。また同日夕刻からは同ホテルの大宴会場にて、記念式典及び祝賀会が催され、こちらにも大勢様がご参会になり。盛大な祝宴となりました。
記念茶会
今回の記念茶会は次の三席。
〈第一席〉お家元席(濃茶)
〈第二席〉支部長席(薄茶)
〈第三席〉支部席 (立礼)
〈第一席〉家元席はホテル6階の大広間での濃茶席。こちらではお家元と若宗匠がお点前をされ、峯雪先生が半東を務められました。
御軸は大きな床の間に合わせ松月老人こと宙宝和尚筆の大横物「松無古今色」。出典は禅語で対句が「竹有上下節」。いつまでも色変わりしない松を詠んだ記念茶会に相応しい御軸であります。獅子耳付古銅花入にお花は吹上菊と万作の照葉。香合も祝意を込め亀甲蒔絵が甲蓋に、蓋裏には鶴が描かれたお目出度い錫縁香合でありました。
琉球風炉にお釜は田口釜。雪月花透かしの風炉先はお家元お好み。そしてお好みの方円棚に置かれた水指が大変な名品で、八角に面取りされた古染付の葡萄棚水指。共蓋こそないものの本歌に近い作であろうとのこと。艶やかでしかも深みのある色合。いつまでも見飽きない佇まいに惚れ惚れいたしました。また口作りも細やかな作であるとお家元が丁寧に御教示下さりこちらは恐縮するばかり。当然のことながらお客様方の注目を浴びておりました。
飾茶器はご流祖好の菊花蒔絵の河太郎棗。華やかな金蒔絵は守屋松亭の作。茶入も見所の多い作で、表千家九代了々斎在判在銘の黒樂で銘「翁」。畳付に朱書きで花押と御銘が記されておりました。また二代自得斎の箱書も珍しく、しかも蓋表には樂家九代了入の判があることから、了入の作か、あるいは了入と了々斎との合作による翁手の写しではないかとのお話を興味深く拝聴しました。仕服は寿唐草の金襴。
お茶碗は高麗粉引。浸み景色も美しく、その存在感がお濃茶席に似合っており、出袱紗は土田友湖作の宝尽くし。お茶杓はご流祖作の銘「鳳凰」。蓋置はご流祖好、蓮々斎箱の宝殿。御菓子は鶴屋八幡製「菊」。
秋らしさの中に祝意を巧みに織り込まれたお席を堪能いたしました。
ホテル二階に設けられた〈第二席〉は埼玉支部長・塚田宗静様がお席主をお務めの薄茶席。十二畳のお茶室と椅子席とが設えられたお席でありました。
床には〝八十一翁 不白〟とあるご流祖筆の一行「鳳有梧桐松有鶴」。〝鳳凰は梧桐(青桐)に住み、鶴は松に住む〟とは、優秀な弟子が育って安心している意で、ご流祖の心境が表現されているとのこと。五十五周年を祝しつつ、さらに将来への期待を込めたお席主の想いが重なって伝わってまいります。さらに御軸に合わせて、主茶盌がご流祖手造の赤樂で銘「藪垣」が〝竹〟を表し、如心斎好みの風炉先が「捻梅」で〝松竹梅〟となる楽しい御趣向。
風炉は初めて拝見した「朱印船」。文字通り江戸期に海を渡った船を象っていますがこれは二代寒雉の作。この独特の風炉に据えられたお釜は鐶付が昇り龍になっている雲龍紋の筒釜。こちらは初代の寒雉作。風炉釜で初代と二代の作を比較できるこれも凝ったお取り合わせであります。
〈第三席〉は立礼席。埼玉支部席として、こちらでは増渕宗洋様がご亭主の役目を務められました。
床の御軸は富士山の画に〝前大徳玄性〟即ち大徳寺黄梅院住職を勤められた宮西玄性和尚が〝孤峰不白〟と讃を書き添えた「富嶽画讃」。〝孤峰不白〟の語句は御流儀の方々ならば熟知されていますが、他の御流儀のお客様に、その意味を丁寧にお話になる増渕様の御言葉が実に優しげで和やかな雰囲気に包まれます。また御菓子の「藤団子(とうだんご)」は五色の環を麻ひもで結わえ、藤の花房に見立てたもので、古来より熱田神宮の名物として伝わる干菓子を取り寄せられたとのこと。
なお〈第二席〉〈第三席〉のお道具組の詳細につきましては以下のお会記をご参照下さい。
会記
第二席(薄茶)
主 塚田宗静
床 流祖筆 鳳有梧桐松有鶴
花 紀伊上臈 杜鵑 数珠珊瑚
金丘虎ノ尾 杜鵑白桔梗
山芍薬の実 白花蓼
花入 宗全籠 翠月作
香合 鶴亀 近佐造
風炉 朱印船 二代寒雉造
釜  筒 雲龍紋 初代寒雉造
大西清右衛門極
先 如心斎好 捻梅
棚  大分 真塗
水指 細水指 南京染付
茶器 菊蒔絵 当代花押 翠香造
茶碗 流祖手造 赤 銘 藪垣
替 高麗 御本
茶杓 流祖作 筒箱共
銘 宝珠
建水 仁清写
蓋置 好 南鐐雪輪 一望斎造
御茶 好 深雪の白 小山園詰
菓子 玉菊代万頭 清晨庵製
器 白釉 長楽造
以上
第三席(立礼席)
主 
床 玄性筆 富嶽画讃
孤峰不白 和光画埼玉支部
花  撫子 山杜鵑 明日葉
藤袴(紅白) 水引 野紺菊
花入 立鼓 瓢阿造
香合 乾漆 ざくろ 表完造
棚  好 高円卓       釜  立筋釜 二代長野垤志造
水指 九谷 永寿造
茶器 菊桐棗 文史造
茶盌 三朝焼 当代家元
銘 明歴々
替 乾山写 もみじ 芳哉造
茶杓 一元斎好 雪輪紋 閑雪筒箱共
建水 銀溜塗 瓢簞形 雅峯造
蓋置 牙
御茶 松の齢 松華園詰
菓子 藤団子 きよめ餅総本家製
器 漆盆      象彦
以上
祝賀会
前述の通り記念茶会の後には、ホテル・ブリランテ武蔵野の大宴会場にて埼玉支部五十五周年の記念式典・祝賀会が催されました。
五時三十分、拍手とともにお家元、若宗匠、峯雪先生がご入場になり開宴。まず埼玉支部を代表して支部長の塚田宗静様が御挨拶をされました。はじめに御参会の皆様方に対し心を込め丁寧に御礼の言葉を述べられ、埼玉支部一同がより一層精進に励んでゆく旨を誓われて御挨拶を結ばれました。
続いてご来賓を代表して、まずは元総務大臣で衆議院議員・新藤義孝様より御言葉を賜り、続いて元衆議院議員で弁護士の浜田卓二郎様、元大宮市長の新藤享弘様、川口市議会議員・吉田英司様よりご祝辞を頂戴し、御来賓の方々の御紹介を経てお家元が御登壇になりました。
お家元はまず御来賓の方々へ御礼の言葉を述べられたうえで、塚田支部長はじめ埼玉支部の皆様へ感謝の意を伝えられ、最後に「御茶は一生が修行でございます」と力強く語り掛けられましたので、会場からはより一層大きな拍手が起こりました。
続いて花束の贈呈となりましたが、これは日頃の御指導への感謝を込めて、翠鶴先生と峯雪先生へ贈られましたが、残念ながら翠鶴先生は御体調がすぐれずご欠席になりましたので、二つの花束を峯雪先生が受け取られ、支部の方々へのお祝いの御挨拶をされました。
ここで記念式典が終了となり、引き続き記念祝賀会への移り、薗田宗成副支部長よりの開会の言葉があり、次いで川口市議・最上祐次様、川口市議・濱田義彦様、埼玉県議・永瀬秀樹様より御祝辞を賜り、若宗匠が御挨拶とともに乾杯の御発声をされ、全員で五十五周年を寿ぎました。
ここから食事を頂きながらの御歓談となりましたが、御食事も一段落ついたところで、祝宴では吉例の上田支部長・小宮山宗輝様による日本舞踊の御披露がございました。今回の演目はお目出度く清元の「青海波」。いつもながら身体の芯にブレがない見事な踊りが拝見でき嬉しくなりました。
続いて登場したのはマジシャンのからくりどーるさん。自称〝日本一うざいマジシャン〟とのことで、独特の口調とは相反した鮮やかなマジックに目を瞠りましたが、さらに各テーブルを廻ってマジックを披露されましたので、そのサービス精神には大変驚かされました。
高張り提灯とともに入場されたのが地元埼玉の「秩父屋台囃子保存会」の皆さん。師走の秩父夜祭では御簾内で演奏される屋台囃子をこの日は直に体感。大太鼓を中心とする演奏はお腹の底に響く勇壮なお囃子でありました。
時刻も八時近くとなり、岡戸宗近副支部長よりの閉会の言葉にて祝賀会も無事お開きに。
記念茶会から祝賀会まで長い一日となりましたが、埼玉支部の皆さんの行き届いたお心配りに感謝しつつ会場をあとにいたしました。

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14


  |  

▲このページのトップへ戻る