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2018年6月14日 総本山善通寺弘法大師御誕生会法要御供花御供茶式・記念茶会

2018年09月27日(木)
六月十四日、総本山善通寺様での「弘法大師御誕生会法要」において、恒例となっております「御供花御供茶式」が執り行われ、今年も東大寺御長老上野道善猊下、総国分尼寺法華寺御流家元樋口教香御住職様御出座のもと、法華寺御流の皆様による御供花御奉仕とともにお家元の御供茶勤仕が行われました。
当日はこれも恒例の「記念茶会」が開かれ、〈拝服席〉はお家元がお席主を、また〈副席〉では香川支部の皆様がお席持をされました。

お家元の「御誕生会法要」での勤仕も今年で七回目に。
まずは十二時三十分よりの御法話を拝聴。この間にも式が行われる〈御影堂〉には御参列の方々が続々と入堂されてまいります。
やがて午後一時、十名ほどの僧侶方が御入堂になって内陣の左右に座され、続いて本日の御導師様が入られ宝塔前に着座。読経が始まりますと間を置かず「お点前お始め下さい」との声が堂内に響き、御本尊に対し内陣右側で法華寺御流の方々が御供花を、左側では今年は若宗匠が進み出られて御供茶点前を勤められました。樋口教香尼公様と上野道善猊下がそれぞれ御後見下さり、お家元と翠鶴先生が見守られるなか、お点前は静かに進んでゆきます。先に御供花の檜葉立華一対が御宝前に供えられ、続いて若宗匠が点てられた濃茶、そして薄茶の二碗が、今回半東を勤められた香川支部の古竹孝雪様によって僧侶の方へ手渡され、二碗それぞれが御宝前に供えられました。
お点前を終えられた若宗匠が進み出られて御本尊に合掌されますと、御参列の御一同様もこれに合わせて頭を下げ合掌。この後も読経が続いてゆきますと、より厳粛な雰囲気に堂内が包みこまれてゆきましたが、やがて御導師様、僧侶方が御退出になりますと心地よい緊張感も解れ、本年も「御供花御供茶式」が滞りなく終了いたしました。

恒例の「記念茶会」は、いつものように当日の午前十時から境内の宿坊「いろは会館」にて次の通り開かれました。
〈拝服席〉三階 蝸庵
蓮華庵 川上閑雪
〈副席〉三階 大広間
江戸千家不白会香川支部
〈点心席〉一階 食堂
料亭二蝶 調進
入梅中ながらこれまで一度も雨に遭ったことがない「御誕生会法要」。本年も晴天に恵まれましたが、蒸し暑さがあまり感じられなかったのが有難く、これも土地柄の故か、それともお大師様の御法縁の御蔭でしょうか。
〈拝服席〉は宿坊の三階「蝸庵」でのお家元席。若宗匠がお点前を務められました。お道具組は基本的には「不白敬和会」を踏襲されておりましたが、前項で書きもらした箇所もございますので、こちらで詳述いたします。
寄付には復古大和絵・森村宜永師筆の「八ッ橋図」が掛かり誠に涼やか。続いてお席入りして脇床を拝見しますと珍しい御軸が掛けられておりました。まず「喫 茶禅一味 閑雪」とある讃は蓮々斎宗匠の筆。これ添う鐶の画が雪峰白鶴師。羽箒の画は当時の門弟の方によるもの。これで三筆の画讃となりますが、初めて拝見いたしました。
床の御軸は「八十二翁 不白」とあるご流祖筆「ホトトギスの画讃」。但し前述「弥生会」の折のものとは違い、〝獨尊とのたもふ賜や郭公(ホトトギス)〟
和物の手付き籠には山紫陽花、姫百合、半夏生、河原撫子、硫黄草の五種が生けられ、香合は宝珠型の杣田(そまだ)。杣田は青貝細工全般を杣田と呼ぶこともある螺鈿細工の代表的技法で、江戸時代越中富山藩主が京都より青貝師を招聘し、地元産の青貝に金銀の切金をまじえて精巧な細工を施し、漆面に貼り付けたもの。富山の薬売りによって全国に拡がったようですが、鈍く妖しく、しかし様々な光を放ってくる香合は実に魅力的で、初めて拝見され驚かれた方も多かったようです。
風炉釜は総霰で鬼面鐶付の芦屋切合。ご流祖好の米棚には呉須の発色が鮮やかな南京染付の水指。清涼感が漂います。茶器は一元斎好の雪輪雪華紋蒔絵の平棗。
主茶盌は先述のご流祖手造の赤樂、銘「山の井」。ご流祖の作らしくどっしりとした佇まい。替茶盌は色絵薩摩。細密に描かれた幾何学紋と多彩な発色が華やかで、いわゆる〝献上薩摩〟らしい御茶碗でした。茶杓もご流祖作の銘「芭蕉」。この場合の「芭蕉」とはバナナのことであろうとお教えいただきました。蓋置は樂十代旦入作の赤樂の蟹。御菓子は地元高松市の冨久ろ屋製「露草」。
〈副席〉は、三階「大広間」での香川支部様のお席。今年は高円卓での立礼席が設えられておりました。
床はお大師様が室戸岬で修行されている様子が描かれた大きな墨絵に、お家元筆の色紙「福如泉」が掛けられ、唐物籠の花入には姫山紫陽花や金糸梅など五種がスッキリと。香合は香川県出身の人間国宝である彫漆家・音丸耕堂作の茄子。ここ数年耕堂氏の作品がすっかり馴染み深いものになりました。
高円卓には剣釜に染付桶川水指、主茶盌が藤井永祥作の三嶋、替茶碗が白井半七作の紫陽花と、いずれも落ち着いた明るさがあり、対して八ツ橋蒔絵の茶器と大亀老師作の茶杓(銘「出あい」)には分厚い作風といった共通点があり、それぞれにお取合せの妙が感じられました。
その他〈副席〉のお道具組については以下のお会記を御覧いただくとして、毎年同じような感想になりますが、「御供花御供茶式」や「記念茶会」では、東京などにはない、ゆったりとした空気と時間が流れているように感じられた善通寺様でありました。
〈副席のお会記〉
平成三十年六月十四日
善通寺 弘法大師御誕生会法要
記念茶会 副席
主 江戸千家不白会香川支部
床 家元筆 福如泉 
花  カヤ 水引 丘虎ノ尾
姫山紫陽花 金糸梅
花入 唐物 籠
香合 彫漆 茄子 音丸耕堂造
釜  剣釜 江田蕙造
棚  好 高円卓 家元箱
水指 染付 桶川 瑞泉造
茶器 八ッ橋 光入造
茶碗 三嶋 家元箱 永祥造
替 紫陽花 家元箱 半七造
茶杓 銘 出あい 大亀箱
建水 平戸焼
蓋置 緑釉水玉紋 竹春造
御茶 好 深雪の白 小山園詰
菓子 葛焼 冨久ろ屋製
器 樂焼 慶入造
以上

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