2019年3月24日 第41回 朝日カルチャーセンター茶会
2019年06月28日(金)
東京に「開花宣言」が出された直後の三月二十四日(日)、風は冷たいながらも空は見事に晴れ渡り、護国寺境内の桜がちょうど見頃を迎えたこの日、第四十一回となった恒例の「朝日カルチャーセンター/朝日JTB・交流文化塾茶会」が催され、茶席・香席が計七席設けられましたが、当日は〈宗澄庵〉にて江戸千家のお席も設けられました。
毎年の繰り返しになりますが、このお茶会は、朝日カルチャーセンター新宿教室にて御稽古をされている方々にとって、その成果を披露される大事なお茶会でございます。日頃から講師を務めておられる今野宗博様が本年も御指導に入られ、水屋では峯雪先生がサポート役をお務めになっておりました。皆さん午前と午後の二組に分かれ、ローテーションを組んで様々な体験をされたことと思われます。
〈宗澄庵〉のお道具組につきましては、文末にお会記を掲載いたしますが、桜の季節とはいえ華やかさはあまり強調されず、むしろ江戸千家らしい洒脱さ、こざっぱりとした感覚が伝わってまいりました。
床の御軸はご流祖筆「柳の画讃」
音もなく香もなき風乃柳かな
「八十六 不白」とある晩年の作ですが、若葉の季節を先取りしたさわやかさが漂います。一元斎在判、竹の置筒花入には大神楽椿と花筏。
下間庄兵衛作の丸釜に鉈目の入った桑の炉縁、信楽の水指というお取合せは、その渋い感じが小間の〈宗澄庵〉らしく、茶器も闇蒔絵で仄暗いお席では光の加減で甲蓋に桜が浮かび上がる美しい棗でした。またこれに添う一元斎作のお茶杓の御銘が、「桜守」でしたので、お客様方もなるほどと納得されておりました。
主茶碗は土佐・尾戸焼の花三島。尾戸焼は陶技が多彩で華やかな作も多いそうですが、あえて淡く花三島文様が描かれたお茶碗にされたのも、お道具組みの主旨を徹された選択と思われます。替茶碗は朝日焼、先代豊斎作の鹿背茶碗。小間ゆえに微妙な色合いの違いが味わえました。
今年は三畳台目の〈宗澄庵〉でのお席。お客様との距離も近く、広間の席とは違う緊張感があったことでしょうが、やさしく丁寧に適宜御指導をされた今野様の御蔭もあって、皆さん落ち着いてお務めになっていたことは誠に喜ばしく、とても気持ちの良い〈宗澄庵〉のお席でありました。
〈会記〉
平成三十年三月二十四日
第四十一回朝日カルチャーセンター茶会
於 音羽護国寺 宗澄庵
床 流祖筆 柳画讃
音もなく香もなき風乃柳かな
花 大神楽椿 花筏
花入 一元斎在判 置筒
香合 織部 六角
釜 丸釜 下間庄兵衛造
炉縁 桑
水指 信楽 杉本貞光造
茶器 闇蒔絵棗 桜
茶盌 尾戸
替 朝日
茶杓 一元斎作 銘 桜守
建水 朝鮮唐津
蓋置 覚入作 竹
御茶 深雪の白 山政小山園詰
菓子 さくら 鶴屋八幡製
器 縁高
以上
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