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東京茶道会茶会(三月)

2016年04月12日(火)

東京茶道会茶会(三月)
三月十三日(日)護国寺
三月の「東京茶道会茶会」が十三日(日)に護国寺において開かれ、江戸千家からは佐藤宗閑様が〈月窓軒〉にてお席主を務められました。
生憎の曇り空でやや肌寒い日和でしたが、仁王門をくぐると染井吉野より紅色の勝った早咲きの桜が目に入り、境内では鳥の声も聞こえるのが嬉しく、多くのお客様が早春のお茶席を楽しまれてゆかれました。
この日の佐藤様は法衣姿。それは「利休忌」に因んだお道具組のためかと拝察。御軸は大龍和尚が描かれた「利休居士立像画」(お会記の〝休居士〟とは利休居士の意)と、如心斎宗匠筆の「利休居士遺偈」が記された素晴らしいもの。
花入には慶長年間創建の大徳寺塔頭徳禪寺の土塀の軒瓦を用いられましたが、「こういう使い方もあるのですね」と驚かれるお客様も多く、お花は利休忌らしく菜の花と辛夷。どちらもお席主ご丹精のお花であるとのこと。また利休忌なので香合が弘入作の木魚というのも面白く感じられました。
釣り釜は根来茂昌作「尾上釜」。兵庫県加古川市の尾上神社にある朝鮮鐘(神仏混淆で神社にも梵鐘があるそうです)の形を模した釜で、鐶付は獅噛、正面に「播州」「高砂」、反対面に「尾上」、左右には如来と天女の絵がそれぞれ鋳出されているのが尾上釜の型であると細かくお教えいただきました。鎖も象嵌が施された見事なもの。
棚は「山里棚」。利休居士が初めて大坂城内で釜を懸けられた折に使われた棚で、その時の部屋の名が山里だったと。様々なバリエーションがあるそうですが、この日使われた桐木地が本来の姿。本歌は藪内家に伝来し、藪内流でもとても大切にされているお棚であることなどをお話下さいました。お客様方からも御質問が多かったお棚でありました。
棗は甲蓋に鶴、蓋裏に亀が描かれ、ご流祖の花押は底に。これをお客様に見ていただくため手鏡をご用意されていたお心遣いには感服。また茶杓が利休居士の下削りをした茶杓師・甫竹重衛門の作であると聞き吃驚。本誌池田瓢阿様の御連載「茶杓三十六人集」でもちょうど先月号で甫竹に触れられており、その作に早速出会えた幸運はただただ有難いばかり。とても華奢な作ですが、誠に利休忌に相応しい茶杓でした。
その他のお道具組の詳細については以下に記載します当日のお会記をご参照いただきたいと存じますが、いつもながら佐藤宗閑様のお席は勉強になることが多く、しかも時に笑い声も起こる楽しさに満ちたお茶席でありました。

〈会記〉
平成二十八年三月十三日
東京茶道会茶会
於 音羽護国寺 月窓軒
主 佐藤宗閑
床 大徳寺 大龍禅師筆
  休居士立像画
     如心斎天然筆
   人生七十 力圍希咄
   吾這宝剣 祖仏共殺
不白所持
花  菜花 辛夷
花入 古軒瓦 紫野 徳禪寺
香合 赤・木魚 弘入造
惺斎箱
脇 香炉 古染付 南無阿弥陀佛
釜  尾上釜 根来茂昌造
   鎖 象嵌
   鉉 徳元造 寒雉箱
   大鐶 寒雉造
 炉縁 荒目
 先  四折
棚  利休好 山里棚
水指 伊部 四方菱型
茶器 流祖不白好 鶴亀 黒蒔絵
不白在判・箱
茶碗 黒・家元作
    銘 喜雲
 替 御本
茶杓 甫竹作 
  了々斎筒極 碌々斎箱
建水 曲・和三盆入
蓋置 五徳 朧銀
御茶 寿泉の白 ほ里つ詰
菓子 菜種万壽 半田松華堂製
 器  銘々盆 糸目
以上


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