2018年3月25日 第40回朝日カルチャーセンター茶会
2018年09月27日(木)
三月二十五日の日曜日、音羽・護国寺にて第四十回「朝日カルチャーセンター/朝日JTB・交流文化塾茶会」が開かれ、今年も茶席・香席が計七席設けられた大きな会となりましたが、当日は〈不昧軒〉にて江戸千家のお席も設けられました。
快晴の空の下、境内の桜も真っ盛り。誠に気持ちの良い一日でもあり、各席とも多くのお客様がお出ましになっておりました。
さて毎回述べておりますが、このお茶会は朝日カルチャーセンター新宿教室での御稽古の成果を披露される大事なお茶会であります。この日も日頃から講師を務めておられる今野宗博様が入られ、実地のお茶会に際して諸々の御指導をされ、また水屋では峯雪先生が全般的なサポートをされましたので、皆さんとっても大変学ぶことが多かった一日ではないかと思われます。
〈不昧軒〉のお道具組についてはお会記に記しましたが、床の御軸はお家元筆の一行「松樹千年翠」。境内は桜が満開でしたが、お席ではあえてその先の若葉の季節感を表現されているように拝察しました。花入は一元斎作の竹尺八切で銘「寿老」。これを掛けずに広い床に合うように置かれたのもこの日の御趣向のひとつ。また御銘にはお家元米寿のお祝いの気持ちも籠められたとのこと。お花は雪柳に卜伴椿。特に卜伴椿についてはお客様からのお尋ねも多かったように思えます。
ご流祖好の浪花屋釜はいわゆる富士釜の一種ですが、松の地紋が見事で床の御軸と呼応しているように感じられました。同様に茶器も枝垂れ柳に芽吹きの青葉が描かれた時代の柳蒔絵棗でした。
朱塗の霞棚は一元斎好。こちらに青華祥瑞写の水指が置かれますと色が映えて、よりその美しさが伝わってきます。京焼の高野昭阿弥の作で、六角の各面それぞれに違った図柄が描かれている凝った水指でした。
主茶盌は宗鶴師手造の赤樂で銘「待乳山」。小振りで可愛らしい作り。また高台に特徴があり、小さな山が想起されることからの御銘ではないかとも。替茶盌は当代朝日豊斎作の刷毛目茶盌に若宗匠が箱書をされ銘を「祥雲」と付けられておりますが、本日が使い初めとお聞きし改めて拝見しますと、たしかに白の刷毛目が鮮やかで初々しさが本日のお席に合っているように感じられたお茶盌でした。茶杓は大徳寺五〇六世雪窓老師作の銘「千代の栄」。
月に二回、一回二時間の御稽古を重ねておられる皆さんにとって年に一度の大切なお茶会。その真剣さと、お取り合わせの妙が感じられる見事なお道具組とが相俟って、爽やかさが印象に残った今年の「朝日カルチャーセンター茶会」でした。
〈会記〉
平成三十年三月二十五日
第四十回朝日カルチャーセンター茶会
於 音羽護国寺 不昧軒
床 家元筆
松樹千年翠
花 卜伴椿 雪柳
花入 一元斎作 尺八切置いて
銘 寿老
香合 染付 花カツミ 石雲造
釜 不白好 浪花屋 茂昌造
炉縁 大燈紋雪輪
風炉先 金銀熨斗
棚 霞棚
水指 青華祥瑞写 昭阿弥造
茶器 柳 蒔絵
茶盌 宗鶴手造 赤
銘 待乳山 家元箱
替 朝日 刷毛目
銘 瑞雲 紹雪箱
茶杓 雪窓作 銘 千代の栄 筒箱共
建水 家元好 砂張
蓋置 五色 五郎助造
御茶 深雪の白 山政小山園詰
菓子 薄くれない 松華堂製
器 縁高
以上
« 前の記事へ | 次の記事へ »