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2018年10月14日 東京茶道会茶会(十月)

2019年01月18日(金)
十月の東京茶道会茶会は十月十四日(日)に護国寺にて開かれ、江戸千家からは今野宗博様が〈牡丹の間〉でお席主をお務めになりました。今年も川崎大師の「御供茶式」と同日になったため、当日は短時間での取材となりましたことをお席主はじめ関係者の方々にお詫び申し上げます。
秋冷の一日。朝早くから大勢様が席入をお待ちに。また、短い時間でしたが、しっかりとお席主の御趣向が感じ取れたのは、床の御軸、武者小路実陰筆「詠草」の素晴らしさの御蔭かと思います。
野旅
名残をやかえりみ拝む旅枕
一夜の月のあつき野の露
一夜をもかたしきかねつまだ知らぬ
ひなの荒野の露のたまくら
秋の寂しさ、旅の風情が惻々と身に迫る「詠草」でありました。武者小路実陰( 一六六一~一七〇三)は江戸中期の公卿で、霊元上皇より古今伝授を受けた当時を代表する歌人でした。この御軸に合わせてさりげなく見返り草が生けられており、これに気付いたお客様からは感嘆の声が。主客の想いが重なったお茶席の良さが伝わってまいります。
一方で目を惹いたのが風炉釜で、撫肩尾垂の天命釜と西村道爺作の鉄欠鬼面鐶付の風炉という取り合わせ。特に風炉がお客様方にはとても好評で、一見するとかなり荒々しい造形ですが、お席の雰囲気を毀すこともなく、瀬戸一重口の水指とも見事に調和しておりました。主茶盌は樂家五代宗入作の黒樂、替茶盌は小菊の画が美しい薩摩。対照的な色合ながらどこかさっぱりした感覚が共通する秋らしいお取り合わせでした。
その他のお道具組の詳細は以下記載の「会記」を御覧いただくとして、まだまだ秋が始まったばかりの護国寺で、短時間で去るのが惜しくなるほど秋の風情に満ちていたこの日の〈牡丹の間〉でありました。
〈会記〉
平成三十年十月十四日
東京茶道会茶会
於 音羽護国寺 牡丹の間
主 今野宗博
床 武者小路実陰公 詠草
野旅 名残りをや……
脇 薊蒔絵皿
花   見返り草 岡虎の尾(照葉)
山路野菊 女郎花 刈萱
花入 唐物耳付籠
香合 瓢 宗哲造
釜  天命撫肩尾垂 烈 極
風炉 鉄欠鬼面鐶付 道爺造
先 一元斎好 菊桐透かし
水指 瀬戸一重口
茶器 三斎好吹雪 道志造
茶碗 宗入 不白箱 銘 冠
替 薩摩
茶杓 忍道和尚作 共筒
銘 話畫山雲海月情
建水 毛織 浄益造
蓋置 竹 当代在判
御茶 寿泉の白 ほ里つ詰
菓子 上がり羊羹 松華堂製
器 刷毛目銘々 治兵衛造
以上

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