2018年11月11日 東京茶道会茶会(十一月)
2019年01月18日(金)
十一月の東京茶道会茶会は十一日の日曜日に開かれ、江戸千家からは小松宗良様が〈圓成庵〉にてお席主をお務めになり、快晴の空のもと多くのお客様方がお見えになりました。
この日は最高気温が二〇℃、日差しもあり秋らしくない気候のため、紅葉黄葉にはまだ時間がかかりそうな境内でしたが、小間の〈圓成庵〉には秋のお茶席らしさが濃密に溢れておりました。
床の御軸は大龍和尚筆「真実」。細身の龍耳付の古銅花入に白玉椿と珍しい玄海躑躅の照葉。そして黒樂の四阿(あずまや)香合。このお取り合わせが〈圓成庵〉の床にピタリと嵌まった見事な構成。無論お客様方にも大好評でありました。
お釜は初代奥平了保作の撫肩釜。初代了保の作は現存が少なく貴重な釜とのこと。炉縁は黒柿。水指は箱書には「青織部」とあり、正面はたしかに織部らしく濃緑釉が縦に大きく流れていますが、向正面からは志野に見える変わった作。拝見の御所望が多かった水指でした。
同様にご流祖好、帽子写の茶器も手に取られるお客様が多く、主茶盌の紅葉呉器とは、御茶が点てられると紅葉色を帯びてくる時季に合ったお茶盌でした。替茶盌は刷毛目萩と黒唐津、いずれも艶やかな色合が印象的。茶杓は大亀老師作の銘「山の錦」。御菓子もあえて色を抑えた「菊きんとん」が雰囲気と和しており、全体的に黒を基調としたお道具組ながらも地味な印象を受けなかったのは、お席の処々に配された色が落ち着いた感覚を醸し出しているためで、お道具組にはまだまだいろいろな演出があるものだと感じた〈圓成庵〉のお席でありました。
お道具組の詳細については下記のお会記を御覧下さい。
〈会記〉
平成三十年十一月十一日
東京茶道会茶会
於 音羽護国寺 円成庵
主 小松宗良
床 大徳寺 大龍和尚筆
真実 紫野剛山極
花 椿 白玉 玄海躑躅
花入 古銅龍耳
香合 黒樂 四阿 流祖不白手造
当代家元箱
釜 撫肩 天保年時代
初代奥平了保造
大西清ヱ門極箱
炉縁 黒柿
水指 織部 耳付 江戸時代
茶器 不白好 帽子写
家元在判 家元箱
茶盌 紅葉呉器
替 刷毛目 萩
茶杓 大亀老師作
銘 山の錦 筒箱共
建水 尾戸
蓋置 竹 家元在判 家元箱
御茶 寿泉の白 ほ里つ詰
菓子 菊きんとん 鶴屋八幡製
器 家元好雪輪透縁高 雅峯作
以上
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