不白会東京支部
特別会員研究会
三月二十九日(火)
例年二月に行われております「不白会東京支部特別会員研究会」が今年は三月二十九日の火曜日に江戸千家会館にて開かれました。
東京で開花宣言がなされてから一週間、お隣りの東大構内の桜は八分咲きに。まさに春本番を迎えたこの日は平日ながら大勢様が三階大広間にご参集になりました。
今回の講習内容は次の通り。
〈午前の部〉隅炉にて
席入り・炭点前・茶筅飾り
〈午後の部〉
花月付且座・濃茶付雪月花
まずはじめに東京支部長・翠鶴先生より開会の御挨拶があり、続いてお家元からも御言葉をいただき、早速に大広間中央に設えられた中板の入った二畳の隅炉の席での講習が始まりました。
正客・次客・三客・お詰・東の五名様が呼び上げられましたが、お家元より「滅多にない設えの席ですから戸惑われることも多いと思います」とお話があった通り、お席入りから相互の距離や間の取り方が難しく細かな御指導が入りました。東とお客との間で挨拶が交わされ、東が「お炭を直させていただきます」と申し出て炭点前となり、次いで香合の拝見を終え、懐石は略して御菓子を頂き中立に。改めて炉内を拝見してから退出となりますが、ここでも小間なのでお互いの体を融通し合うことが大切であるとお家元の御指導がありました。
「茶筅飾り」のお道具が調えられ再度席入りとなりますが、さすがに皆様も二回目となると戸惑われることもなくスムーズに進まれて、茶筅飾りでの濃茶点前となりますとお家元の御指導も少なくなり、薄茶は略して午前の部は終了。
お昼の休憩の間にお席は八畳に。
午後の部の講習「花月付且座」「濃茶付雪月花」が始まります。どちらもこれまで何度かご紹介してまいりましたが、長時間を要し内容も濃密な講習であります。そしていつもながら「難しい御稽古だなあ」という結論に思い至ります。特に今回午前の講習とも共通して印象深かったのがお互いの息を合わせることの重要さでした。お茶?を引く、折据を廻す、立ち上がるといった際のタイミングにちょっとした逡巡が入るだけで、そこから先に支障をきたしかねない難しさがあると感じた次第です。
二つの講習が終わり、改めてお家元、翠鶴先生より締め括りの御挨拶を頂戴して研究会も無事終了。御茶と御菓子を頂きましたが、今年の御菓子はお家元よりのお心遣いで向島「長命寺桜もち」。今や何の説明も必要としない江戸名代の銘菓ですが、この季節に頂けるのはまた格別なこと。特別会員の皆様方も長い緊張が解れた後だけに安堵感とともに会話が尽きぬようでした。