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2019年5月12日 東京茶道会

2019年06月28日(金)
五月の「東京茶道会茶会」は十二日(日)に護国寺において開かれ、江戸千家からは増渕宗洋様が〈圓成庵〉にてお席主を務められました。境内は若葉、青葉の季節を迎え気持ちの良い一日。お席にも多くのお客様がお出ましになりました。
「令和」最初の東京茶道会でしたが、〈圓成庵〉ではお席主の増渕様のお人柄故か気負った感じがまったくなく、この時季らしく爽やかで、派手やかさよりも風趣に富んだ情緒が伝わってきました。
床の御軸は松永耳庵筆「時鳥(ほととぎす)画讃」 〝一聲を山時鳥渡りけり〟
この日の気分にこれ以上ないほど好適な御軸ですが、個人的には耳庵の画讃を拝見したのが初めてでしたのでいきなり感激した次第。ご流祖好の猿蓑籠は先代瓢阿作で、こちらには五種のお花、白の紫蘭、芍薬、七段花の紫陽花、華鬘草、春の丁字が生けられ、香合も甲蓋にホトトギス、蓋裏には双葉葵が金蒔絵で、しかし慎ましやかに描かれてあるのが、先述の通り風趣に富んだところ。
堀山城作の唐銅耳付風炉と大西浄林作の角耳筒釜のお取り合わせも控えめで可愛いとお客様方から好評でした。
茶器はお家元好の溜塗の帽子棗で渡辺喜三郎の作。帽子特有の深い蓋裏にお家元の花押があり、これを皆さんじっくりと拝見されておりました。主茶碗はお家元手造の三朝焼で胴には「薫風」の二文字。一方替茶碗はお家元の箱書に銘「黒亀」とある宗鶴師手造の黒楽。御流儀の方々からは「懐かしい」との声があがっておりました。
その他のお道具組の詳細については下記の〈会記〉を御覧いただくとして、この日の〈圓成庵〉は、小間の茶席に似合った落ち着いたお道具組が、五月晴れの空とも相俟って、清々しさを感じさせてくれるお席となっておりました。
〈会記〉
令和元年五月十二日
東京茶道会茶会
於 音羽護国寺「圓成庵」
主 増渕宗洋
床 耳庵画讃
一声を 山ほとゝぎす 渡りけり
花  紫蘭 芍薬 丁字
七段花 華鬘草
花入 流祖好 さるみ乃籠 瓢阿造
香合 ほとゝぎす 流祖箱
風炉 唐銅 耳付 堀山城造
釜  浄林角耳筒釜 清右衛門極
水指 瀬戸 一元斎箱
茶器 閑雪好 溜 帽子 㐂三郎造
茶盌 薫風 閑雪文字
三朝焼 共箱
替 宗鶴手造 黒亀 当代箱
茶杓 閑雪作 銘 青葉 共筒
建水 曲 内黒
蓋置 竹
御茶 寿泉の白 ほ里つ詰
菓子 一声 清晨庵製
器 菱形銘々皿 一閑造
以上

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