2019年11月2日 佐々木虚室 茶陶展 若宗匠添窯
2019年12月13日(金)
京都の亀岡で開窯されている〈帰来窯〉佐々木虚堂様の茶陶展が、十月十七日から新宿・京王百貨店6階の「京王ギャラリー」にて開催され、会期中の十八日(金)、若宗匠が添釜をされ、御流儀の方々を中心に多くのお客様が併設の茶席「京翔」を訪れました。
寄付には上野道善猊下筆の色紙「月」が掛けられ、床の御軸は月に薄が描かれたご流祖筆「武蔵野の画讃」
茶の道はたどるも広し武蔵野の
月のすむなり奥ぞ床しき
〝宗安画讃冩〟とあることから、裏千家六代六閑斎筆の画讃をご流祖が写されたことがわかります。
唐物籠の花入には、竜胆、白桔梗、草牡丹、杜鵑、女郎花、尾花、丘虎ノ尾の照葉などがたっぷりと。時代の錫縁香合は甲蓋に亀甲蒔絵、蓋裏に鶴が描かれ鶴亀となる「茶陶展」開催を祝したお目出度い作でした。
真塗の大板を中置に常什の風炉釜。火襷が美しい細長い備前の水指は、蓋が黒樂という珍しいもの。守屋松亭による見事な秋草蒔絵の棗など、秋らしい雰囲気を醸し出すお道具組となっておりました。
会主である佐々木様の作品はお茶盌と建水。主茶盌は黒樂のカセ釉。カセ釉は通常の黒樂よりも温度を下げて焼かれるそうで、光沢を抑えた肌合いが独特。替茶盌は白樂の窯変。建水は黒樂の中に金箔を散らした美しいもので、いずれも存在感のある作品でありました。
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