2019年12月10日 開窯五十周年 杉本玄覚貞光 侘び寂展 若宗匠添窯
2020年03月17日(火)
毎年歳末の恒例となっております杉本貞光(玄覚貞光)様の個展「侘び寂展」が十二月五日より新宿・京王百貨店6階の「京王ギャラリー」にて開催され、会期中の十日(火)に若宗匠が会場併設の茶席「京翔」にてお席持をされました。今回は特に「開窯五十周年」ということで、より充実した茶陶展となっておりました。
お席では花入、香合、水指、茶盌が杉本様の作品が実際に使われましたので、その幅広い作品群の一端を身近で感じられました。
当日は若宗匠がお点前も務められ、床の御軸は茶陶展に因み「茶盌之画讃」。こちらは一元斎讃、白鶴画という珍しい画讃。お花は白玉椿と蔓梅擬(つるうめもどき)が筒型の花入・信楽の旅枕に生けられました。香合は赤楽でユニークな造形の狸。思わず笑ってしまう面白い香合でした。
お釜は「京翔」の常什で、炉縁は四種の寄木。台目棚に茶器はご流祖在判、松木地の金輪寺棗。水指は前述の通り杉本様の作で伊賀。耳付の臼型水指は古来からある形だとお教えいただきました。
主茶盌は井戸、替茶盌は赤楽、そして数茶盌には御本と玉子手と、こちらも実に多彩。井戸茶盌の釉薬は朝鮮半島から取り寄せられたそうで、「井戸」の由来や特徴的な梅花皮(カイラギ)について、若宗匠が丁寧に御説明になりました。
若宗匠のお話では、杉本様は大亀老師の教えで楽を学び、さらに老師から高麗の写しを作るよう御指導を受けられたそうで、こうした逸話が聞けるのも、ともに大亀老師のもとで修行された親しい間柄だからこそ。お二方の親密さが、そのまま温かな風情として伝わってきたこの日のお席でありました。
(「孤峰 江戸千家の茶道」令和二年二月号より)
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